絶望の海岸⑦

原発の受付。
まわりが、みんな、みる。
おらが、住所と名前を、
ぜんぶ、ひらがなで、書いとる、
それを、みて、クスクスわらう、

あたまが、半分、割れて、手術をした跡がみえる。
「昨日、東京からきたがや。」
(本当に昨日東京から来た人が、
こんなふうに自己申告することは、あるだろうか。)

そう話す人の横に立って、その頭をわしづかみにして、
「あそこへ行って、あれとってくるげんぞ。わかったか?」
その方向を指差しながら、違う色の服を着た男が言った。

頭にライトをつけて、
原発の下にある、人がすっぽり入れる配管内、
海水は、抜いてある。

真っ暗な中、
そこらじゅうににこびりついた、貝や藻を、
一人で、ひたすら、こそぎとっていく。

もし、海水を止める弁が、間違って開いたら、どうなるか、
想像できないもんを、選んで、
違う色の服を着た男は、指図するげんぞ。

つづく

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2015年1月20日 絶望の海岸⑦ はコメントを受け付けていません。 絶望の海岸